バンカ・ブリトゥン州(インドネシア)におけるスズ採掘問題

世界的なスズの産地-バンカ・ブリトゥン州
・ バンカ・ブリトゥン州は、バンカ島、ブリトゥン島を中心に470の島からなる地域。
・ 1850年頃よりスズ採掘を開始し、世界的に主要なスズ産地となっている。
・ 現在では世界のスズの1/3がインドネシア産であり、そのうち90%はバンカ・ブリトゥン産である。
・ バンカ島、ブリトゥン島合わせて160万haある陸地のうち3/4以上に採掘許可が下りている。企業による大規模な採掘現場の他、その周辺で個人による小規模な採掘も多数行われている。
・ 2006年頃より、海洋での採掘も増加。

採掘による主な問題
1、森林破壊: 保護林での違法操業などによって、島の60%の森林が危機的な状態にある。
2、採掘跡地の再生: 採掘跡地を植林や農地化により回復させる試みが行われているが、露天掘りによって表土がはがされた土地での生態系回復は困難であり、ほとんどが失敗に終わっている。また、採掘跡地でハマダラカが繁殖し、住民のマラリアやデング熱の発症数が増えているとの報告がある。
3、海洋生態系への影響: 海洋での採掘により50%以上のサンゴが損害を受け、海洋生態系が破壊されている。魚が減り、漁業ができなくなるなどの被害も深刻である。漁業者から個人でのスズ採掘業へ転身する者が増えている。
4、水質汚染: 採掘現場の周辺では、飲み水として利用していた水が、汚染されて飲めなくなってしまったため、飲料水を購入しなければならなくなった。
5、児童労働: 貧しい家庭では子供が学校をやめ、スズ採掘の現場で働かされる事例が多い。これに加え、採掘現場での放射線量が高いため、健康面での被害も懸念される。
6、労働者の安全: 採掘現場での山崩れ、海洋での事故などにより毎年50~100人が死亡している。大規模な採掘現場の周辺で、個人で採掘を行う者が増えていることも、病気や事故の増加の要因になっている。

★参考: 企業の取り組み ~Tin Working Groupの設立(2013年)
FoEインドネシアなどの働きかけにより、サプライチェーンを通じて、スズの供給を確保しつつ、地域経済への貢献と採掘による環境社会影響の軽減に取り組むことを目的として設立された。構成企業は、アップル、サムスン、フィリップス、ソニーなど。

★参照資料:
・Grim Portraits of Bangka Belitung Tin Mining(FoEインドネシア、FoEオランダ/2014年)
・「Make It Better Campaign」の映像より(FoE英国/2012年秋公開)

★映像 Friends of the Earth (England, Wales & Northern Ireland)
フィルム1:採掘後の土地の生態系回復(Mining For Smartphones: Film 1 – The Tin Mines of Bangka Island)
https://www.youtube.com/watch?v=u6KxzGMF4co&feature=youtu.be
フィルム2:海洋採掘による海洋環境・生態系破壊(Mining For Smartphones: Film 2 – oast, oral and ommunity)
https://www.youtube.com/watch?v=sBaVbSY1trs
フィルム3:島民の健康、生活への影響、産業構造の問題(Mining For Smartphones: Film 3 – The True ost of Tin)
https://www.youtube.com/watch?v=2BilGmYtFuk

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